● |
みなさんは、「マスコミ」つまり新聞やテレビで報道されていることは、ほんとうだと思いますか?
時代を振り返ってみると、いろんな事実が見えてきます。 |
● |
事件事故報道はほとんどの場合、警察発表文をそのままニュースにしています。それが間違いだったら無実の人も犯人扱い。(長野サリン事件→冤罪、報道被害) |
● |
戦争中の大本営発表
当時、戦争について新聞やラジオから知ることの出来る情報は全て大本営発表のもの。内容はウソが多かった。
例:1994年(昭和19年)10月19日大本営発表→「アメリカ軍の母艦を11隻も沈め,日本は大きな戦果をあげた」との発表だったが実際はアメリカ軍の船は1隻も沈んでいないことが分かった。
本当のことを伝えれば、戦争に苦しむ国民に我慢を強いる理由が無くなる。
※大日本帝国=強い=世界に君臨する価値あり |
● |
そしてイラク戦争
開戦の大義名分は「イラクがWMD(大量破壊兵器)を保有しているから」。アメリカ外交官の「フセイン元大統領がウランを買い付けた証拠はない」との報告をブッシュ前アメリカ大統領は無視して開戦に至った。元米国務長官パウエルの「大量破壊兵器は見つからないだろう」との議会での断念発言はどうか?
※フセイン=悪、アメリカ=善(世界の警察)、国連を無視してイラクを攻撃
メディアも戦争に荷担した!?繰り返される情報操作。(FOXテレビとCNNの対照的な報道内容)そして、イラク戦争の本当の意味は?それを支持する日本の本音は? |
● |
新聞報道どっちがホント?
特に社説やオピニオンは、同じことを伝えていても内容が大きく違う。さあ、あなたの意見は?
・2004年9月16日の朝日新聞社説
イラクに大量破壊兵器の廃棄を求めた国連決議をイラク侵攻の大義としたのは、ほかならぬ米国だった。そして、開戦直前の昨年2月、安保理で数々の「証拠」を示し、脅威がいかに差し迫っているかを切々と世界に訴えたのはパウエル長官自身である。
米国は結局、開戦を承認する国連決議がないまま戦争に走った。それでも米国を支持した国々の政府は、もちろん日本も含めて、大量破壊兵器の脅威があるのだからと、国民に理解を求めてきた。
それが、なかったというのだ。結果的に世界を欺いただけではない。戦争は普通の住民を含む多くの人の命を奪う。平和どころか混乱と無秩序を呼び込む危険と隣り合わせだ。イラクの現実は、まさにその証明である。
・2004年9月18日の産経新聞産経抄
またぞろ「戦争の大義はどこに?」と“鬼の首”でもとったように言い立てている新聞がある。パウエル米国務長官が上院公聴会で「イラクで大量破壊兵器の備蓄が見つからず、今後も発見の見通しは少ない」と述べたことに、小躍りしているらしい。「歴史を振りかえれば、客観的な大義に立って行われた戦争はない」とは作家・塩野七生さんの卓見だが、その見解を借りるまでもない。戦争の大義はすべて相対的なのだ。
大東亜戦争も同じこと、一方には「白人のアジア侵略に対する聖戦」だったが、一方には「日本の野望をくじき民主主義を守る義戦」だった。かりに米英のイラク戦争が大義なしなら、ではサダム・フセインのクルド人虐殺などの側に正義ありなのか。
誤解を恐れず率直に書けば、イラク戦争の大義を問うても始まらない。戦争は正邪善悪の尺度でなく、どう対応するのが究極の国益にプラスか、それを冷徹なリアリズムで量るしかない。イラク戦争はそれを肯定するのがつまるところ国益であり、選択の余地がなかったのだ。 |
● |
各社バラバラな結果の世論調査
よく行われる、新聞・テレビ・インターネットなどメディアの各種世論調査。でも同じ様な質問なのに、結果がバラバラになることがあります。なぜでしょうか?
まず、回収率の低さが新聞、テレビの世論調査では最近目立っています。また、質問の前に説明をする場合がありますが(対象者が知らない内容を質問する場合など、それも突然に)、それに誘導的な言葉が入っていれば、結果がかなり違ったものになる可能性があり、その説明次第では、メディアが意図する結果を導くこともできます。内閣支持率の結果などを見ると、この傾向が見てとれます。(各社結果がバラバラ)
(インターネットの世論調査は対象が狭まるので、結果を鵜呑みにするのは危険) |
● |
同じ事も、伝え方によってまるっきり違ったものになる
映像を伴わない雑誌や新聞、ラジオはやろうと思えばもっと事実をまげることもできます。週刊誌の記事がもとでの、裁判例は多い。それだけウソを伝えているのでしょうか?
では、映像があるテレビで放送されていることは、真実でしょうか?
|
● |
SSP-TVで、ある小学校の先生紹介映像を制作してみました。
紹介映像は連続して二つあります。
ケース1:良いイメージ
ケース2:悪いイメージ
映像の内容は同じですが、「ナレーションの内容としゃべり方」、「音楽」、「テロップ(文字)」を変えてみました。 |
|
(注:この映像は教材用として制作したもので、事実ではありません) |
|
これは、同じ映像を元に、ナレーションや音楽を変えることで、まるっきり違ったものになってしまう例です。さあ、どちらの先生が本当なのでしょうか?
極端な例ですが、ぜんぜん関係ない映像にナレーションを入れても、それなりに見えてしまいます。
(余談ですが、この映像で校舎シーンは冬に、先生のシーンは夏に撮影したものです) |
● |
取材内容をまるっきり逆にすることもカンタン!
今度は疑似ワイドショーを制作してみました。最初にインタビュー素材を見てください。次にその素材を編集し、インタビュー内容とはまるっきり逆の番組に仕上げてみました。 |
|
(注:この映像は教材用として制作したもので、事実ではありません) |
|
「インタビューだったら、真実を伝えているのでは?」というのは大きな間違い。演出や編集次第で意見も反対にできる映像の怖さ。伝える側は自分たちの都合の良いように映像をつぎはぎし、いろんな効果をつけていきます。映像なので、見る側はどうしても真実として捉えてしまいがちです。 |
2.演出の不思議 |
● |
報道に「うそ」はつきものということが分かったと思います。それでは、その「うそ」を積極的に使ったものはなんでしょうか?それは、ドラマやバラエティーです。実際にはあり得ないことや、見ている人に、喜んでもらったり、感動してもらうための「うそ」・・・それが「演出」です。そのためにセットを組んだり、大々的なロケーションをやります。基本的にはありのままの映像(実写)を用いる報道とは違うものです。(報道バラエティー番組は微妙ですが・・・)
フィクション←→ノンフィクションの違いをしっかりと見極めましょう。 |
● |
同じシーンでも、演出を変えると???
同じようなシーンでも、演出を変えることでいろんな物語ができます。それに、登場人物の台詞や動き以外にカメラの撮り方を変えたり、音楽を入れることでより一層見ている人の心に訴えかけます。
それでは仮想「連続テレビ小説○○物語 〜青春編〜」をご覧ください。
第1話:仲良し3人組
第2話:仲間割れ
第3話:いじめ
が、連続しています。同じようなシーンでも、演出次第でこれだけ内容が変わってしまいます。(前半はまるっきり同じ映像です) |
|
(注:この映像は教材用として制作したもので、事実ではありません) |
|
演出次第で、人々に夢や感動を与える素晴らしい作品ができあがります。それは、演出家といわれる、監督・ディレクターの手腕にかかっています。(「連続テレビ小説
○○物語 〜青春編〜」は拙い演出ですが・・・) |
● |
演出の最たるもの、それはコマーシャル(以下CM)です
CMは商品やサービスをどうにか見ている人に買ってもらったり、利用してもらうために、これでもかというぐらいの過剰演出をします。でも、最終目的は・・・お金儲けです。
例えば、に白物家電のCMを思い浮かべてください。
何気なしにいつも見ているCMですが、注意してみると・・・女性が家事の設定。男性がやってもいいのでは?なぜこのようになるのでしょうか?
CMの発注者(メーカー)はイメージが決まっている商品のCMに、新しい発想を入れることが怖い。なぜなら、今までせっかく安定した?イメージがあるのに、それを壊してまで新しいことに挑戦する価値があるのかを考えたとき、今まで通りの方が失敗しなくていい。(事なかれ主義、保身)また、男性の反発?をかいたくない。(本当は女性の反発が存在するのに)という本音がチラチラと見えてきます。(表向きは「購入権があるのは女性だから」と言います)
※女性=家事、男性=外で行動(働く)、白物家電を使うのは=女性???
もちろん逆手にとったコマーシャルもあります。(これはまったく新しい発想の商品、サービスのものが多い)
(注:ここでの記述内容は私見です。どう思うのかは、あなた次第です。) |
● |
演出はドラマやバラエティー、CMに限りません
さて、演出はドラマやバラエティー、CMだけに限られたものではありません。報道の分野にも演出は存在します。でも、ドラマやバラエティー、CMの、基本的には「うその世界」を描くための手段としての演出とは違い、その影響力は図り知れません。人を簡単に陥れることもできます。また、悪人をヒーローにすることもできます。 |
● |
報道での演出(「やらせ」と「演出」のはざまで・・・)
ここで、先ほどの「先生紹介映像-@」に、ある演出を加えてみます。
ケース1:良いイメージを更に良く
ケース2:悪いイメージを更に悪く
を続けてご覧ください。 |
|
(注:この映像は教材用として制作したもので、事実ではありません) |
|
これは、先ほどの「先生紹介映像-@」の映像を一部入れ替えてみたものです。報道番組(特にドキュメンタリー)ではよくやられる手法ですが、表現したいことを更に強調する場合、取材現場で撮影した素材の中から、よりその場面を象徴するシーンを編集でつないだり、挿入したりします。たとえそれが全然違う場所や時間に撮影されたものであっても。また、よく問題になる「やらせ」(出演者に「こういったシーンを撮りたいから、こうしてくれ」や「こうしゃべって下さい」それに特定の意見を言うように誘導的な質問の仕方をする等々)も同じような意味で日常茶飯事的にやられています。(このことを追及されると、制作者は「やらせではなく、演出です!」と言います。) |
3.なぜそこまでやってしまうのか |
● |
一部のアメリカのドキュメンタリーでは音楽もあまり入れずに淡々と作ります。それは見る人の感情を変えてしまうから・・・。
それでは、なぜメディアは時にそこまでして事実を曲げた報道をしてしまうのでしょうか?
・新聞社やテレビ局は会社組織ですから、利益をあげないといけない。つまり読む人や視聴率を稼ぐためには、どんなことでもやってしまうようになる。読者、視聴率を上げる=スポンサーがつき易い。
(報道分野ではスクープ主義。中国でもそんな例が目立ってきている。例:段ボール肉まん報道)
・「伝えることで、悲惨な事故や事件の再発防止に役立つ・・・」とは伝える側の論理。その裏で忘れられていく、大切なものがある。(例:附属池田小事件では人権無視の報道が目立った)
・スポンサー(お金を出してくれる人)の言うことには逆らえない。また、スポンサーに不利になることはしない。(スポンサーは会社ばかりではない)
・国や県、市などの広報誌、広報番組、ホームページも要注意。市民に知られたくないこと、自分たちの不利になることは出さない傾向も。
・国や政治家が自分たちにとって不利なことは、事前に放送を中止させるように圧力をかけることも。(例:NHK番組改変問題)
・放送局は国からの免許がないと電波が出せない。ですから極端な話、免許更新のときに「おまえは我々に不利な放送をしたから、今度は免許を与えない!」と言われれば、放送局は潰せる。(例:テレビ朝日をめぐる処分)
・自分たちが都合の良いことしか伝えなくなり、自分たち(権力者)が不利になることは伝えないようになる。
・「既得権」とはよく聞く言葉。一度手にした権利や権力は失いたくない。みんなそれにしがみついて生きている。
・勇ましいことを言う人に反対したりすることも、こわい(不利になる)からやらない。
・いったい誰のための報道(情報)なのか???
・最近目立った捏造事件:関西テレビ「発掘!あるある大事典」・日本テレビ「真相報道バンキシャ!」・週刊新潮「朝日新聞阪神支局襲撃犯の告白記事」 |
● |
一過性の報道や、都合の良い話題を利用する人々 最近の少年・少女犯罪報道。どこの放送局も判で押したように同じパターン。
本当に若者の犯す殺人は増えているのか?実際は全く逆。早稲田大・長谷川教授の調べでは、例えば殺人を犯しやすい20歳代前半男性の殺人者率(人口10万人当たりの殺人者の出現率)は1955年が3〜4人だったのが、90年代にまでにはほぼ1人になった。(主要国の中では一番少ない。オランダやスウェーデンの半分、アメリカの10分の1)そしてこの現象に最も寄与したのが戦後生まれの若者たちだった。
若年犯罪が起こったら、必ず出てくる政治家からの戦後教育を批判した発言。根幹は別なところにあるのでは?そこまで深く掘り下げ、原因を究明し、解決していくのは誰の役回りなのでしょうか。 |
4.同じ様なパターン報道(伝え方)をしていると・・・ |
● |
人間には「型にはまった反応・型にはまった行動」というものがあります。つまり、「人間の心のある部分に働きかければ、一定の反応が得られる」というものです。(例:赤ちゃんが泣けば、すぐにあやす)
・ある条件を繰り返し見聞きすると、それが反応として心に刻み込まれる。(条件反射的に)→そのことが度重なると思考能力が働かなくなる。(何も考えなくなる)
また、わかりやすい(単純)図式だと更に効果的?
・ステレオタイプ(決まり文句、決まり切った形)の人間を作り出すのには便利?
・アメリカ:安全=国防=愛国、イスラム原理主義者=テロリスト(FOXテレビ)等々。
・大正デモクラシー以降の日本が進んできた道を今一度考えてみよう。
・小泉元首相の言動は一見わかりやすい。(今までの政治家の言動は意味不明で、突っ込むと「忘れた」「秘書のせいだ」等・・・)が注意して聞くと・・・
「大量破壊兵器があるから」の理由で始まったイラク戦争。小泉元首相はアメリカを支持。結果その「大量破壊兵器」は見つからなかった・・・。国会で追及された小泉は「フセインが見つかっていないからといって、フセインがいなかったとは言えない。だから大量破壊兵器が見つかっていないからといって大量破壊兵器が存在しないとは言えない」と言った。
つじつまが合わない理屈でも、今までの言語がわかりやすい表現だったので、そのまま通ってしまう。でもこれってヘリクツ?(へが理屈いう???)
・最初に受けた印象は、後々まで残る。
・マニフェストと公約:マニフェストと名前を変えた?公約。破ってもその理屈で来られると・・・ |
● |
政治家がよくやる意図的な情報リーク
ブッシュ前大統領の側近のローブ元大統領顧問とネオコンのリビー元首席補佐官。自分たちの主張を通すために、マスコミを利用。情報をリーク(漏らす)し、記者に恩を売る。(イラク戦争開戦時期、パウエル元国務長官辞任説)
リビー元補佐官は米同時多発テロのときに「即座にイラクを攻撃すべきだ」と主張。その中で元外交官ジョセフ・ウィルソンが開戦前にアフリカのニジェールを現地調査し「フセイン元大統領がウランを買い付けた証拠はない」との報告をあげたが、ブッシュ前大統領はそれを無視して開戦に至った。ウィルソン氏は新聞での投稿で政権非難を行ったが、ブッシュ前大統領の支持率低下を防ぐために、「ウィルソンは外交官の失業中に調査の仕事を回したのはCIAに勤める工作員の妻だ。身内から仕事をもらう男の調査に信頼性があるのか?」という情報をウィルソン氏の評判を落とす意図で先の二人が情報をリークしたと言われている。 |
5.それじゃ、どうしたらいいの? |
● |
最後はみなさんが一人一人の本当のことを見極める力が必要です!
・それには、いろいろなものを見聞きして、自分の考えをしっかりと持つことが大切。
新聞記事は同じ事を伝えていても、新聞社によって内容がかなり違います。特に社説。
・今は新聞やテレビ以外にインターネットから情報をゲットすることができるので、おかしいな?と感じたらすぐに検索して、いろいろな意見を調べてみましょう。
・でも、それだけではダメ。インターネットもメディアだから、ウソが多い。規制があまり無いので、自分の都合のよいことだけを載せる場合も多い。ただ、情報量は莫大なのでマスコミでは取り上げられないようなものもあるし、マスコミとはまったく逆の意見を見つけることもできます。
・一番大切なのは実際に現場に行って自らの目で見て、調べ、感じ、考えてみること。(→現場主義) そして、自分の意見を他人に伝える努力をする。 (何も考えずに、現場に行くだけではダメ!)
・自らが、情報発信者になってみる。今はブログや映像投稿サイトなどで簡単に情報発信者になれます。
(ただ、今度はあなた自身が責任を負う立場になりますから、よく考えて情報を発信しましょう)
・間違っていることを間違っていると感じる心。間違ったことを間違っていると言える勇気を持とう。 |
6.メディアリテラシー Media Literacy とは? |
● |
リテラシーとは読み書き能力を意味し、メディアリテラシーとは、私たち自身がテレビ、新聞、ラジオ、雑誌、インターネットからマンガ、音楽、映画、ビデオ・ゲーム等のあらゆるメディアを使いこなし、メディアの提供する情報を読み解く能力のことをいいます。
(※メディア→情報媒体。Mediumの複数形。Mediumには霊媒の意味も・・・)
今みなさんのすぐ近くでは、情報合戦が繰り広げられています。目の前に出てきた情報にすぐ飛びつくのではなく、その裏に何が隠されているかをよく考えましょう。そうしないと世の中はもっとたいへんなことになります。いまのみなさんは情報にコントロールされています。自分の心は自分で守らないと! |
ここまで述べたことは、あくまでも私見です。考えるのはあなた自信です!
|
|
このメディア・リテラシー講座は、今まで各学校やPTA、団体等でSSP-TVが実際に行ったものをまとめ再構成したものです。 |
〜 SSP-TVのメディアリテラシー講座開催実績 〜
公立小学校・・・3校(5回)
(対象:小学5・6年生) |
私立中学校・・・1校(1回)
(対象:中学2年生) |
小学校PTA・・・1校(1回)
(対象:大人) |
各種団体向け・・・1団体(1回)
(対象:子ども・大人) |
(各講演では、サンプル映像に一部開催場所の先生方等に出演してもらいました) |
注意:このページにに関して、学校や先生方の協力をいただきましたが、関係者への直接問い合わせは行わないで下さい。
|
(問い合わせはこちらのフォームからSSP-TVへどうぞ。) |